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アメリカ行きの今(4)


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日本入国(帰国)の実際

開催直前の東京オリンピック。テレビなどのマスメディアを見ると、海外から入国する選手や関係者に対する人々に対しての厳しい見方が一般的だが、同時期にアメリカから帰国した僕にとって、日本の「水際対策」は、極めて屈辱的で煩わしいものだった。

そもそも、日本に帰国(入国)するには、日本到着時刻以前72時間以内にPCR検査を受け、陰性であることが求められる。そしてその陰性証明の持参が求められる。

アメリカからの帰国の場合は、空港でのチェックイン時、もしくは国際便搭乗ゲートで陰性証明書の提示を求められる。提示して有効と認められれば搭乗でき、日本まで行くことが可能だ。飛行機内では、日本の検疫所に提出する誓約書(アンケートと、帰国後の自主隔離を誓約する書類)が配布されるので、それに記入しておくことが求められる。

長いよ

日本に到着すると、飛行機を降りたところで待機させられ、帰国か、入国か、また出発地によって選別されて並ばされる。今回は成田空港だったのだが、ゲートからこの待機場所までは1kmくらいあるんじゃないかって距離を延々と歩かされた。飛行機内で13時間以上過ごしたあとだと、結構ヘロヘロだ。

そのあと、椅子が並んだ部屋に案内される。ここで、入国後3日間強制隔離される人たち(出発地が変異株流行地域、流行国の方)と、PCR検査後陰性であれば自主隔離に進める人に分けられる。

しばらく待ったあと、呼び出されて誓約書、アンケート、パスポート、陰性証明をもってアクリル板で仕切られたテーブルに座って質問を受ける。アンケートに書いたとおりの回答をする。隣の席では「俺はワクチン受けに海外行ったんだから、一番安全に決まってるじゃん」と怒り気味に係官に話している人がいた。

向かいに座った係官に体調などを聞かれ、書類をチェック。問題ないので、次へ行くように指示される。で、書類を持って立ち上がって2歩ぐらい歩いたのだが、そこで「健康カードを見せてください」と別の係官に制止させられた。

健康カード? なにそれ? と思うが、カバンに一度しまった書類を出して全部見せると「はいOKです」とまた次に進むよう指示された。

健康カードって何? と思ったら、アンケート用紙のことだった。確かによく見ると右上に「健康カード」と印字されていた。だけど、これは普通わからないと思うなー。検疫所関係者は当然わかっているだろうけど。

 A4サイズの書類の右上に書かれた「健康カード」の文字。これじゃわからんって

また、椅子に座って係官に「OKです、次に進んでください」と言われた直後にまた書類をチェックする係官の役目はなんなのだろう。必要なのだろうか。謎だ。

再び歩いて次はPCR検査。唾液を、ジョウゴ状の容器に吐き出して、下に接続された容器に指定されている位置まで溜めて係官に渡す。結構な量で、唾液が足りず「もっともっと」と応援されている人もいた。ここの担当者は結構フランクで、ときどき笑いも生まれるなど和やかな雰囲気だった。

検体を渡して次へ行くように指示される。次はスマートフォンに指定されたアプリが入っているかどうかのチェックだった。チェックされたのは、MySOS、Google Maps、COCOAの3種類(Androidの場合)で、それぞれ起動するかどうか、目の前でチェックされる。

また、検疫所からのメールが届くかどうかもチェックされた。その場で自分のメールアドレスにテストメールが送られるのだが、僕の場合はSPAM扱いで迷惑メールに振り分けられてしまい、発見するのに少し時間がかかってしまった。

長旅後に飛行機を降りたらならばされる。まあ仕方ないか。

まだまだ続くよ

さらに通路を進んで先へ。ここでは、MYSOSの設定が行われた。少し日本語がたどたどしい若い外国人が担当で、僕のスマートフォンに彼が名前やメールなどを打ち込んで行く。自分のスマートフォンを、初めて会う他人に触られるのはなんとなく嫌だったが仕方がない。だが、あとから隣に来た人は自分で打ち込んでいるを見て、僕もスマートフォンを返してもらって自分で打ち込んだ。

そしてまた次の会場に移動。ちなみに、通路を歩いている際に、頻繁に書類のチェックが入る。なので、パスポート、健康カード、誓約書は常に手にもって歩いていた。

次の部屋では、別の検査官に、飛行機内で座っていた座席の確認、家の電話番号などが確認される。それ、さっきも確認してなかったっけ?

もともと帰国時の入国には数時間かかる場合もあると聞いていたので諦めてかかっていたが、何度もなんども同じことの繰り返しが多く、果たしてこれほどの人員を配置する必要があるのか、と思ってくる。検査を担当する人もそれだけリスクを負わされるわけで、人数はもっと絞れるだろうと思う。

途中で、飛行機で一緒だったチリのオリンピック代表選手? 関係者? たちが廊下に立たされているのを目撃。気の毒だなあ….

やっと終わりかと思いつつ、別の部屋へ。唾液を採取したときにパスポートに貼られたシールの番号を入り口で伝えると、指定したパイプ椅子の席に座るよう指示される。僕の次に入って来た人は「なんだよ、まだ待たされるの? いい加減にしてほしいわ~」と結構大きな声で愚痴りながら僕の後ろに座っていた。

無音の部屋で、ただじっと座って待つ。トイレに行っていいかと聞くとOKとのことだったので、指定されたトイレに行く。席に戻って、ただ待つ。目の前の壁には(悪いけど)しょぼい手書きのポスターに、自分の番号の見方が書かれていた。決まった手順なら、手書きじゃなくてきちんとした印刷物にすればいいのに…なんて思いながら。

まだ終わらないよ

しばらくすると、たぶん別の部屋から検査結果を係官が持って来たようで、番号でさっきの検査で陰性の人が呼び出される。陽性の場合はどうなんだろう、と思ったが、僕が待機している間は陽性だった人はいないようだった。

3巡目くらいで僕も呼び出され、これで終わりと言われた。やれやれ、やっとか、と思ったら、次はまた別の部屋だった。そこでまた椅子に座り、少し質問されて、オレンジ色の陰性証明カード? 的なものを渡された。検査完了通知だそうだ。

そして、さっき歩いて来た長い長い通路を歩いて入国審査場へ。途中でまた係官に呼び止められ「これ持ってますか?」と「オリパラ関係者」と書かれたカードを見せられる。え、あ、いや、俺関係者じゃないですと言うと、そうじゃなく、さっきの陰性証明カードのことだった。係官が僕の前に水戸黄門の印籠のように見せつけたカードには、上部に大きく「オリパラ関係者」と書かレテいて、そっちのほうが目に入ってしまったのだ。

カードを見せて入国審査へ。無事通過し、やっとバゲージクレイムへ。そしてやっと、空港のロビーに出られた。飛行機が到着してから、3時間ちょっと経過していた。

こういう手書きのポスター、ださくないすか…..なんなら無料でデザインしますよ

振り返って見ると

無事入国できたのは良かったのだが、やはりこの「水際対策」にはいくつかの疑問が残った。

そもそも、入国時には陰性証明書が求められている。なので日本に来る人はみんな事前にPCR検査を受けて陰性証明をもって飛行機に乗っている。なのに、再度、日本でPCR検査をするということは、海外の検査や書類を信用できないということなのか? 実際、日本からアメリカに入国するときは、陰性証明書を見せるだけでOKなのだ。

日本に入る場合、陰性証明書の持参が求められるけれども、言ってみればその証明書の効力は無視されるわけだ。国際免許を持ってレンタカー会社に行ったら、日本の免許をとってください、と言われるのに等しい。海外のこと、信用してないんでしょうか。日本政府は。

これを渡されて初めて入国OK。

アメリカン航空のカウンターで

また、実は、ダラスで、アメリカン航空の搭乗ゲートで陰性証明書を見せた時に、アメリカン航空のグラウンドスタッフと一悶着あったのだ。

僕はジョージア州のアトランタに行っていた。成田~ダラス(テキサス)~アトランタの乗り継ぎ便で、ダラス~アトランタ間は国内線となる。なのだが、アトランタからダラスまでの便が1時間半近く遅れてしまったのだ。

もともと乗り継ぎ時間が2時間しかなかったので、ダラス到着後、僕は相当に焦って空港内を移動した。息急き切って搭乗ゲートに「間に合った!」と到着した時には、すでに搭乗が始まっていた。

窓口で搭乗券とパスポートを渡すと「陰性証明の確認が必要なので、横のカウンターでチェックを受けてください」と言われた。そこですぐ横のカウンターに行き、陰性証明書を出した。アメリカのPCR検査センターで受けた際の陰性証明である。

アメリカでは、2箇所の検査センターでPCR検査を受けていた。ともに無料である。どちらにも、持参した日本の厚生省のフォーマットに結果を記入してくれないかと依頼したのだが、1箇所はOKで、もう1つは無理、ということだった。

無理と言った方は、検査翌日にアプリ経由で陰性証明がPDFで送られて来たので念のためプリントしておいた。厚生省のウエブサイトでは、電子文書でもOKと取れる記載だったのだが、日本の場合往往にしてこういうときはトラブルが発生しやすいので、一応プリントしておいたのだ。

アメリカでは無償でPCR検査をしてくれるところが多い。ドライブスルー形式だ。

もう1つ、日本のフォーマットに記載してくれる、と言ってくれた方は、結局出発までに書類が送られてこなかったのだが、アトランタからダラスに移動している間にメールで証明書の写真が送られて来ていた。

そんなわけで、アメリカン航空のカウンターで、まずは英文の陰性証明書を見せた。担当は、日本人、もしくは日系人と思われる60歳前後の眼光鋭い女性である。

すると….

「これは日本のフォーマットじゃないのでダメです」ときつい口調で言って来た。

「厚生省では日本の書式じゃなくても大丈夫って書いてありますが」

「ダメなものはダメです」

「あ、なら念のためこっちもあります」

ムカッとしたが、メールで送られて来ていた日本フォーマットの陰性証明書の写真をスマートフォンで見せた。

「これはなんですか?」

「PCR検査を2箇所で受けたんですが、そのうち1つの、日本の書式に書いてくれた証明書です」

なんやらカウンターの中で、スタッフがごにょごにょ議論している。

「なんで印刷してないんですか? 画像じゃだめに決まってるじゃないですか」

と言われたので

「今飛行機に乗っている間にメールされてきたんで持ってません。そもそもプリントしてないとダメなんですか….」と言いかけると、畳み掛けるように

「私はあなたたちを飛行機に乗せたいんです。でも、プリントがないと乗せられない! 今日も何人も乗せなかったんです!」などと逆ギレ気味にいって来た。

 僕の隣では、白人の女性が携帯の画面(陰性証明だろう)を白人のスタッフに見せている。

「じゃあどうすればいいんですか」

「24番ゲートの前に印刷できるところがあるから印刷してきてください」

文字にすると丁寧だが、もはや、命令口調に近い勢いである。なんであんたに命令されなくちゃならないんだ、と思いながら時計を見ると、もう出発まで20分を切っている。プリントしている間に飛ばれたらやばい。

「何分まで戻ってくればいいんですか?」

と聞くと

「とにかく行って印刷して来て、さあ」

アゴで方向を示された

アメリカン航空、30年くらい前から好きだったんだけどねえ。

ほぼ無人のバゲージクレイム。

日本は外国人(と帰国者)をバイキン扱い。これがおもてなし?

数百メートル歩いた先にある、プリントショップでメールをプリントしてゲートに戻る。ゲートで印刷してきた書類を見せようとすると、ほとんど見ずに一瞥しただけで機内に通された。そんなもんなら、いちいちプリントさせるな、とこちらはムカムカである。

その後無事に日本に帰国し、上記の通り入国したわけだが、テレビなどのマスコミを見て思うことは、海外からの入国者をバイキン扱いするような報道だ。PCR検査を受け、ワクチンも打っている陰性の海外の人からしてみたら、日々感染者が増加している日本のほうが怖いよ、って思うだろう。だけど、怖がられたり、近づくな的な行動を取られるわけで、まことに憤懣やるかたない。

もちろん、人流を抑制した方がいいのは僕も理解しているし、そのため海外からの入国者を制限する必要もあるのだろうと思う。

だが、それと、手続きの煩雑化は別の話である。

根っこは日本の機関のワガママさと、海外への不信にあるんじゃないだろうか。

1)陰性証明書の持参を求めているのに、空港でPCR検査するのはなぜか?(日本>アメリカではそんなことはしない)

2)陰性証明書は厚生省のフォーマットじゃないとダメだと言うのはなぜか?(アメリカでは有効な結果が書いてあれば書式は問われない)これって、日本人は海外の証明書を読解する能力がないと言っているようなもんだけど。

3)空港での各種手続きはもう少し簡略化できるのではないか? 繰り返し繰り返し、通路で書類をチェックされたり複数回同じことを聞かれることが多い。通路は区切られているのだし、そこを歩いているということはチェックを通過して来てるのだという事実を理解して、行程を簡略化すべきだと思います。そのほうが、業務に携わる人々も減らせ、リスクも軽減できるでしょう。

こうした事実を見ると、日本の担当者は海外の人をバカにしていると思われても仕方がない。

有効な陰性証明書を持っている人ならすぐに入国できるようにしないと「日本って感じ悪いよなあ、二度と行きたくない」ってなる人も出てくると思うけど。

と言うわけで、2021年7月現在のアメリカからの再入国レポートでした。


無料でPCR検査、証明書を発行してくれる機関

TEST4FREE.org


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