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サルディーニャには2回行った。英語のサーディン(鰯)の語源となった島である。南部のカリアリと、北部のアルゲーロ、それぞれの周辺だ。アルゲーロにはミラノのマルペンサ空港から飛行機で、カリアリにはローマから飛行機で行ったように覚えている。

サルディーニャは、長靴の形をしたイタリア本土の西、地中海に浮かぶ島だ。すぐ北にはコルシカ島がある。結構大きな島で、四国の1.3倍もの大きさがある。ちなみに今のイタリアという国はもともと、パルマ公国、トスカーナ大公国、モデナ公国、両シチリア公国などの小国に分裂していた国で、各国家はオーストリア、スペイン、フランスなどの後ろ盾で権力を争っていた。その国家の1つがサルディーニャ王国だ。
そのサルディーニャ王国がイタリア統一戦争を経て1861年にイタリアを統一、イタリア王国が1861年に建国したのである(以上主にWikipediaから)。

行くまでは「イタリアの田舎、リゾート」という認識だったのだが、こうした歴史を知って少々驚いた。大きいとはいえ、この島が現在のイタリアのルーツ、中心であったとは、という驚きだ。ちなみに今の政治的にはイタリアの自治州の1つとなっている。
ちなみにイタリアでサッカーの人気が高いのは、それぞれの地域がもともと別の国だったため国同士の戦いという意味合いでみんな熱くなるのだ、と誰かが言っていた。確かにイタリアの地域ごとの文化って結構違うように感じることを考えると本当なんだろう。
訪れたのはいずれも秋口だったが、比較的温暖な気候のため朝夕以外はさほど寒さを感じない。やはり南の島、という感じだ。
町並みは、イタリアの地方都市という感じでとてもレトロで優しい雰囲気だ。石畳の道に中世以来という雰囲気の建物が続く。市街地の道は狭く、大きなクルマではすれ違いにくい。
一歩街を出ると、壮大な自然の風景が待ち受けている。それもそのはず、この島には人口が164万人(2019年調べ)しかいないのだ。だいたい福岡市の人口と同じくらいで、それが四国よりもでかい島に住んでいるのだから、人が少なく感じるのも当然と言えば当然。しかも3割ほどの人口は首都カリャリ付近に住んでいるのだから当たり前だ。

そのおかげで、アルゲーロから東に向かっていくと、素晴らしいワインディングが待っている。交通量の少ない狭い山道は、バイクやクルマを走らせるのが好きな人にとってはまさに天国。制限速度も市街地以外は90km/hと高いのでストレスもない。
海が綺麗なのも素晴らしい。傾斜の強い山肌が海に向かって落ち込んでいる風景は日本と似ているが、ときどき現れる荒々しい岩肌の雰囲気がやはり日本とは異なる。

また、近づけば近づくほど青い海は、陽によって色を変えていく。僕が滞在したアルゲーロ近郊のポルト・コンテは国立公園となっている場所で、とくに自然が美しかった。泊まったのはその名もホテル・ポルトコンテという、眼の前の湾を臨む美しいリゾートホテルだ。眼の前の海は1日中見ていても飽きない静かさ、美しさ。ロビーの隣にあるバーでは、夕陽を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができた。


また、16世紀に建てられた砦、ポルテコンテタワーのような歴史的建造物も多い。ちなみにこの砦、一時期その1階がクラブとして使われていた時期があったそうで、結果的にそれで今アクセスがよくなっているというのが面白い。
アルゲーロの旧市街も歴史を感じさせるレトロな町並み。チェックが可愛らしい、小さなトラットリアに入ってみたが、とてもフレンドリーで代金もリーズナブルだった。
サルディーニャに限らず、ヨーロッパ……とくにイタリアで感じることは、小さな町には、多くの場合集まる場所がある、ということ。
イタリアやスペインの街の中央には、だいたい教会があって、その前に四角い公園があることが多い。その公園に、夜になると地元の人々が集まって、ゲームをしたり、話し込んだりしているのをよく見かけるのだ。
公園の周囲には多くの場合カフェやバルがあるので、そこで話し込んでいる人たちも多い。言ってみれば、同じコミュニティの人々が集まる場所が身近にあるわけで、こういうカルチャーってのはいいなあ、と思ったのだ。
日本でも居酒屋などがそうした役割を果たしている地域もあるけれど、道端や公園で、というのはあまり見かけない。イタリアなどでは、毎夕ごとに多くの人が集まっている光景を見たから、決して珍しい風景ではないのだろう。もっとも、ミラノなどの大都市になるとまた違うのだろうが……。

数日間、海と山を楽しんだあと、アルゲーロからサッサリに移動し、サルディーニャを離れることになった。サッサリの空港では2時間ほど待ち時間が発生した。
せっかくなので、どこかに行ってみようという話になった。空港でGoogle Mapを調べてみると、近くにワイナリーがある。じゃあ、そこでワインを飲もうという話になった。クルマでの移動なので運転手は飲めないが。
30分もかからずに着いたそのワイナリーは、大きな門をもつ、まるで城のようなワイナリーだった。クルマで門をくぐると、中の道はダートで、しばらく走ると石畳が美しい庭に出た。レンガづくりの美しい建物が何棟か立っている。
エントランスらしいガラスのドアを開けると、木箱に入ったワインが並べられていた。商談スペースのような、バーのような雰囲気だ。


出てきてくれた方に、ワインを飲みたいんだ、という。僕らはイタリア語を話せないし、彼らも英語が得意じゃないから、ゆったりとした流れの会話になる。聞いてみると、サルディーニャで穫れたブドウを使ってワインを醸造しているそうだ。しかも、ワインはほとんど地産地消で島外にはほとんど出していないと言う。これは飲んでみたい!
しかし、聞いてみると、ここでは法律の関係でワインが飲めないのだ、という。あくまでここはワインの販売所であり、敷地内で客にワインを提供するのは禁止されているのだと(※今は飲めるようなので、法律が変わったのか、僕らが行ったとき営業時間外だったのかもしれない)。うーむ。
結果、ボトルと、ワインオープナーを買った。敷地内では飲めないというので、門の外に出て、その道端でワインを開け、ラッパ飲みでみんなで回し飲みした。もう飛行機の時間が迫っていて慌てて飲んで空港へと向かったのだけど、今でもあのワインの味は忘れない。普通に店で飲むより、こうした「なんだかなあ」なんてシーンのほうがより強い記憶に残るもの。みなさんも、そうじゃないですか?



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