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廃墟のテーマパーク


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 子供の頃、西部劇というのは非常に退屈で鬱陶しい存在だった。もちろん人によってそれぞれ嗜好は異なるが、僕の父親の世代(昭和一桁生まれ)は西部劇が好きな人が多かったんじゃないかと思う。ジョン・ウェインとか、OK牧場の決斗とか、シェーン・カムバックとか、断片的に記憶に残っているけど、当時幼少期だった自分にとっては退屈なだけだった記憶がある。

ガソリンスタンドの跡地(Bodie)


 それが、自分も歳をとったせいか、というか、新しいテクノロジーで撮影された西部劇が増えてきたことで、興味を持って見られるようになってきた。というか、いい西部劇は見ていて楽しい。出てくる建築物や家具、食器や家具理なども美しいものが多くて、魅力的に見えるのだ。僕にとっての新しい西部劇は「ダンス・ウイズ・ウルブズ」(1990年)だ。もちろん素晴らしい映画だが、出てくる景色がなにより素晴らしい。そして、バッファローなど、アメリカ古来の自然が見られる点も(あくまで映画ではあるが)素晴らしい。
 奇しくも、やはり西部開拓時代を舞台とするバック・トゥ・ザ・フューチャーpart3にも古き良きアメリカが出てくるけれども(コルト・ピースメーカーやフリスビーの登場の仕方なんてすごくいい)、少し趣向が異なる。
 このほかにも1990年代には「許されざる者」(クリント・イーストウッド主演、1993年)や「ワイアット・アープ」(ケビン・コスナー主演、1995年)などがあるけれど、この時代の映画はまだ映像や音響テクノロジー的には過去の西部劇を踏襲しているように感じる。銃声がいかにも「バキューン」って音だったり、登場人物の死に方の演出だったりする部分に。いずれももちろんいい映画だけど。


 2000年代以降になると、映像、音響的に非常に進化した西部劇が多く登場してくる。多数あるので全部は見ていないし列挙はしないが(調べてみてこんなにあったのか、と驚いた)、僕のなかで印象的だった映画は「レヴェナント 蘇えりし者」(レオナルド・ディカプリオ主演、2015年)、そして「トゥルー・グリット」(ヘイリー・スタインフェルド主演、2010年)、「バレー・オブ・バイオレンス」(イーサン・ホーク主演、2016年)などだ。
 反論もあるだろうけど、昔の西部劇と違ってリアリティを感じる演出とディテイルで、ああ100年ちょっと前のアメリカってのはこんな感じだったのか、と思わせてくれる。

 さておき、そんな西部劇時代のアメリカに触れられるカリフォルニア州立公園がアメリカ、カリフォルニア東部にある。ヨセミテの東、ネバダ州との州境に近い砂漠の中にある歴史施設だ。
 19世紀後半に金の鉱脈が発見されたこの場所は、最初は小規模なものだったが、発見から15年ほど立った頃にスタンダードという会社が大規模な鉱脈を発見。急速に鉱山の街として人を集め始めた。そう、ゴールド・ラッシュだ。1800年には1万人近くの人口になったと言う。
 街はスタンダード社の会社町として発展し、60軒以上のバーやホテル、レストランが建設されて賑わい、チャイタウンや風俗街も出来たそうだ。しかし、20世紀に入って金が掘り尽くされると町は急激に衰退していく。さらに1932年に町の中心部が大火事で燃えてしまい、いよいよ寂れていき、やがて誰も住まないゴーストタウンとなったのだそうだ。そのゴーストタウンを、自由に歩き回れるのがこのボディ州立公園(Bodie State Park)である。

案内看板
デシャンボー・ホテル Dechambeau Hotel

 州道395号線のウイロースプリングスあたりから、山を登っていくワインディングをレンタカーで走っていく。途中から道は砂利道になるけれど、よく整備されているので、普通の乗用車で問題なく走れる。
 荒涼とした砂漠地帯の山を走っていくと30分くらいで駐車場に到着。受付で3ドル支払って公園に入園する。駐車場は高台に位置していて、ボディの町は眼下に広がっている。反対側の山が鉱山だったように見える。
 ゴーストタウンとはいえ、狭い地域にびっしりと家が建っているわけではなく、草原のなかにポツポツと建築物が残っている、という感じだ。だがその草むらの中にも、昔使われていたのだろう鉱山用の機械のようなものがゴロゴロと転がっている。なかにはクルマのエンジンや、シャシーのようなものもある。

薬局


 残っている建物は、人が去ったままそのままに残されていて、雑貨店などでは、商品などがホコリをかぶったまま放置されている。当時の薬鑵や、コーヒーが入っていたのだろう袋などを見られて興味深い。
 建物は基本的に内部には入れないので、窓から内部を覗く感じになる。なかには内部に入れる建物もあって、間近に当時の生活を垣間見れる。クラシックな台所用品や食器棚などを見ると、当時の暮らしは大変だったろうなあ、と思う。

雑貨屋の店内
酒場の内部


 観光客のために、ところどころ説明の銘板が貼られているけれども、案内はそれくらいで、基本的に当時のままの風景がそのまま劣化、風化していくに任せている感じだ。
 日本の歴史的観光地は、きれいに復元されていたりしている場所が多いけれども、当時のまま、そして時間の流れのままにされているこの展示方法はこれはこれで素晴らしいと思った。寂しさを感じるけれどね。
 厚い雲が空を覆うゴーストタウンを背に、カリフォルニアの町に下りていく。やっぱり砂っぽい、ホコリっぽいけど、明るく輝くネオンが見えてきたとき、まるでタイムトリップしてきたように感じたのは、僕だけだろうか。


ボディ州立公園(Bodie State Historic Park)

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