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Big red wagon.


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僕ってラッキーだよな、と、巨大なラジオフライヤーを見て思ったのだ。場所はアメリカ、ワシントン州のスポーカン。シアトルから450kmほど東、アイダホ州との国境に近いアメリカ北部の都市である。ここに来るまで、スポーカンなんて地名はまったく知らなかった。Wikipediaによると、武庫川女子大学の海外キャンパスがあるそうなので、その大学の女子なら知っているのかもしれない。

Apple Tree inn

僕は、仕事で、カナダのパノラママウンテンに向かっていた。他の仕事の都合で、シアトルでレンタカーを借りてカナダを目指していたのだが、その途中で立ち寄ったのがスポーカンだった、というわけである。

シアトルからスポーカンまでの道も面白かった。アメリカのなかでも北部に位置するので涼しいのかと思っていたら大間違い。インターステイツハイウエイ90で走って来たのだが、エアコンの効いている車内から出るのを躊躇してしまうくらいの蒸し暑さで、夕方にはかなり疲れていた。

なので、トリップアドバイザーで出てきた、スポーカンの手頃なモーテルに泊まることにしたのだ。スポーカンのダウンタウンから少し北に行ったアップルツリー・インというモーテルだ。モーテルの近くにはウオルマートとホームデポがあって、いかにもアメリカの郊外の街、という印象だ。

ただ、シアトル近郊から感じていたことだけど、カンナビス(マリファナ)の看板がとても多い。ワシントン州は2014年に大麻が合法化されているので当然といえば当然なのだが、カリフォルニアなどに比べるとビルボードがとても多いような気がした。

日が暮れる頃にモーテルにチェックインして、途中で見かけた中華料理のレストランに食事に行く。日本からシアトルに着き、そのまま車で500kmほど走ってきたのでさすがに疲れたので、その日はすぐに寝てしまった。

そのせいか、翌日はすごくスッキリとした頭で早めに目覚めた。すでに陽は上がっていて、真っ青な青空が広がっている。クルマのボディには朝露がついていて、朝の光を反射してきらめている。

パノラママウンテンでの集合日時まではまだ余裕があったので、せっかくだから街を見てみようと思い、スポーカンのダウンタウン方面に行ってみたのだ。

まだ早朝のせいか、人気の少ないスポーカンの街でクルマを走らせているとぎょっとするほど大きな、赤いなにかが見えた。

クルマをUターンさせてゆっくり通りを戻る。木々の生える公園の前でスピードをさらに落として確認したら、それは巨大なラジオフライヤーだったのだ。子供や荷物を載せて引っ張る、ワゴンだ。

パーキングを探してクルマを停め、徒歩でその公園に行ってみることにした。すぐ近くに、歴史を感じるレンガ造りの古い建物があった。その横には川が流れていて、川沿いは公園となっている。川に近づいていくと、かなり大きな滝があった。

公園に設置されている看板を読む。この川はスポーカン川と言って、この滝はスポーカン滝。ちなみにスポーカンという名前は、かつてこの地域に住んでいたネイティブ・アメリカン、スポーカン族に由来すると言う。スポーカンとは、彼らの言葉で「速い水」を意味するのだそうだ。

自然の岩と、人工のダムを組み合わせたこの滝の横に建つレトロな建物は1889年に建設されたモンロー・ストリート発電所。今から130年も前に建設されたもので、発電機自体は入れ替えられたものの、今でもダウンタウンに電力を供給しているのだそうだ。

Monroe Street Powerhouse

川沿いの道を歩き、さっきクルマから見かけた、巨大なラジオフライヤーがある公園まで来た。この巨大なラジオフライヤーは、1989年に「Centennial Celebration of Children」というプロジェクトの一環で作られたものなのだそうだ。

コンクリートと鋼鉄で出来たラジオフライヤーは、巨大ではあるがとてもリアルなルックスに作られている。ハンドル部分は滑り台になっていて、子どもたちが滑り降りて遊んでいた。アメリカ人にとってラジオフライヤーは子供時代を想い出させるアイコン的な存在であり、これを見ることで、無邪気で夢に溢れていた子供時代に引き戻すことが目的の1つなんだとか。

さておき、モンローストリートダムにしろ、このラジオフライヤーにしろ、誰もが知るような著名な観光地や史跡ではないけれども、知ることができてよかった。たまたま通りかかってラジオフライヤーを見つけたことで、過去にここに住んでいたスポーカン族について知ることも出来たし、なんとなくこの街にも親近感をもつことができた。

こういう寄り道って、楽しいよね。

The Childhood Express “RED Wagon”


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